とある茶色がいい空間
とある珈琲喫茶の
トイレのにおい消しとして置かれたこのコーヒーのカス
その前に
厳選されたであろう豆をひき
フィルターの位置をたえず変えながらお湯を注ぐその仕草は
まるで虫眼鏡でなにかを観察するようなそんな真剣さがあった
その丹念にいれられたミルクコーヒーを一口飲むと
スーっと胃まで溶かされるような優しい味がした
飲み終え
トイレに入り用をたす
そこから出るにおいが
このコーヒーのしぼりカスに吸収される
摂取し出したものの一部がまた摂取したものにより吸収される
使い捨てのものがもう一役こなしたという
小さな驚きが印象深かった
教えてくれた先輩が
この店には
すごく全体性がある
と言ったことになにより感銘を受けていたのですが
その店のオーナーのこだわりが細部にまで行き届いている気がしてならなかった
ふと見上げると黄色がかったふるぼけた小説がいくつもならんであり
どれも個々では主張せず
その数十冊が上部の空間を形成しているようにおもえた
そんな小さな発見が小さな幸せをよんでいた気がした
いい休日でした